人間力のあるマニュアル作り

ハエなど、本来食べるものではないものが、 飲食店で、食事の中に入ってしまうことを、“異物混入”とよぶことを、前回からお話し、しています。

ハエなどの昆虫は、そのもので病気になることはありませんが、不快に思うヒトが多くいるので、“不快昆虫”とよばれています。ヒトを病気にしたりする昆虫は、“害虫”だとか“毒虫”とよばれています。

害虫の場合、人に直接的な害を与えるということで、“駆除”することが必要ですし、見つけしだい、“駆除”されてしまうので、なかなかお目にかかることも少ないでしょう。

例えば、スズメバチは、ヒトを殺すくらいの毒物質を持っているので、行政などでが積極的に“駆除”しています。夏の時期は、カブトムシやクワガタムシを見つけに行って、ハチに刺されることも多いので、気を付けてほしいです。

しかし“不快昆虫”は、環境中にたくさんいます。お客様と一緒に入口から入ってくることもありますし、やぶれた網戸などからも施設内に侵入します。

侵入しないように対策をとると同時に、ハエなどが住みつかないように工夫することも必要です。

一度、“異物混入”を指摘されているのであれば、商品を提供する前に、一度きちんと確認をするようにしましょう。
謝罪をする場合は、せっかく来てくださったのに、申し訳ないという素直な気持ちで対応していきましょう。さらにお会計のあとでお客様がお店を出られる時に、もう一度丁寧に謝罪しましょう。

さて、お店にはマニュアルは用意していますでしょうか?たしかにマニュアルは必要です。

マニュアルが必要になるときは、保健所などが衛生チェックに来たときに必要です。また、ご自身で、お店の経費にムダがないか、みなおすときにも必要になります。

マニュアルなんていらない、と思っている方は、これまでに保健所などが衛生チェックにきたことがないのかもしれません。

しかし、マニュアルがあれば、加熱時間にムラやムダがなくなるので、光熱費の見直しができますし、洗浄に使っていた時間のムダを減らしたり、必要以上に洗剤を使いすぎたりして、発注の頻度が多くなりがちだったことも、これからは減らすことができるかもしれませんよ。

さて、マニュアルを用意している方は、あなたのマニュアルには、どんなことが書いてありますでしようか?
“ハエが混入した原因を特定して、お客様にお知らせします”
もしくは
“ハエの種類を特定して、お客様にお知らせします”

え!?ハエのことをそんなに調べてくれなくてもいいよ~と、お客様の立場なら思うことでしょう。

こんな風に、現場とマニュアルではしばしば、かい離が起こっていることがあります。“事件は会議室で起こっているのではなく、現場で起こっている”わけですね。

お客様からの質問の仕方で、よくあることですが、“どうして、ハエが入っているのですか~?”という聞き方があると思います。

この“どうして?”形式の質問に、“なぜならば”で、回答してはいけません

この質問に、正直に“ハエが入った原因として、次のようなことが考えられます。第一に・・・”なんて、回答してはお客様を怒らせて二次的クレームに発展するからです。

お客様の立場になって考えてみましょう、答えなんて求めていないのです。つまり、“もう、とにかく、コップの中のハエをどうにかしてくれ!”とあなたにお願いしているのです。

まず謝罪して、ハエの入ったコップをお客様の目の前から、なくす、という行動が必要なのです。

もちろん、新しいコップにハエが入っていないことを確認して、目の前にお出ししましょう。

例えば、こういう会話を冷静に聞いたのなら、おかしいと思いますよ。

お客様:“おい、クロゴキブリが入っているぞ!”
店員:“お客様、それは違います。これは、チャバネゴキブリでございます”

確かに、このハエやゴキブリの種類を特定すれば、その昆虫がどこからきたものかわかりそうです。

しかし、それはお店の対策であって、お客様への対応ではありません

こんなふうに、実際にマニュアル通りに対応して、お客様に怒られた人をわたしは見たこととがあります 。

マニュアルには、なかなか反映できないことがあります、それが人間力(にんげんりょく)なんです!

お客様の身になって考えたり、想像したりすることが必要です。他のお店で体験して、思ったこと、うれしかったこと、感動したことなどは、覚えておくようにしましょう。もちろん、嫌だったことがあれば、しないように覚えておく必要があります。

ぜひ、お客様不在にならないマニュアルを作りましょう

お客様の目線で、飲食店をきりもりすることを、どうか忘れないでください あなただからこそできる、愛されるお店になりますように!